やさぐれた私と、その仲間たち。。。
「最近ね、会社の帰りに一人でふらっと呑みに行くとさ、
『お一人ですか?』 って言葉がね、 『お一人様ですか?』 に聞こえる訳よ」
「なに? 誘われたの?」
「あ・り・え・な・いっ!」
「なんでよ」
「会社帰りの、ファンデ溶け出した顔よ、ありえない」
「じゃあ、誰に言われるの?」
「カウンターの中の、ワカゾウよ」
「『今日も一人なんですか?』 って?」
「そう、そう聞こえるのよ」
「誘えばいいじゃない。電話しなさいよ」
「わざわざ人を誘うまでもなく、なんとなく帰りたくない夜ってあるじゃない」
「電話っていえばさ、あんたこの間の電話の声、どこのおっさんが出たかと思ったわ」
「何? 変声期来た?」
「何回目よ」
「それとも、酒やけ?」
「学生時代は、確かソプラノよね」
「今も男の前では、ソプラノよ」
「今迄、身持ちが固すぎたんだわ」
「つっぱりすぎたよね」
「次が来るって思ったもんね」
「妥協忘れたよね」
「ホント、ギャンブルよね、人生ってさ」
「私、身持ちより、根性とカカトが固くなったわ」
「私はね、日本酒やめたわ」
「なんで? あんなに好きなのに」
「男より好きになっちゃって×になったのよ、さすがに学習するってば」
「違うでしょ。 ぐい呑持つ手がサマになっちゃって、でしょ?」
「それあるね、お酌されるのが面倒で、燗が好きなのにグラスで頼んじゃう」
「呑むと深いしね」
「深いね。 早く酔って楽になりたいのよ」
「やだね~」
「ホント、やだね~。 自分のぶ厚い取り扱い説明書、背中に背負って呑んでるんだもんね」
「もうすでに、電話帳なんか問題じゃないくらいの厚さだよね」
「だもん、誰も読む気もしないって」
「百科事典好きな奴とかでもダメかな」
「百科事典てさ、本人じゃなくて、親が子供に読ませたくて買ってただけじゃん?」
「でも、一度も開いて見た事無かったな~」
「高いんだから読めって言われたよね」
「敷居が高いのよ」
「今は妙なプライドが高くなったわ……」
「自分だって、自分を理解できなくなってるってのよ」
「誰がこんな面倒な世界に迷いこんでしまった姫に気づいてくれるかしら」
「姫を探すうちに、毒りんご持ったまま迷子になったババアの間違いでしょ」
「その上、頑丈なバリア張ってるしね」
「バリアなんか張らなくたって、誰もそのバリア破ろうなんてしないけどね」
「なのに、何層にもなったバリアが、尚更頑丈にさぁ」
「その分、内側は無菌状態だから、感染は早いのよ」
「すぐに人を好きになる」
「完全武装しながらね」
「いつもブレーキかけてるからね、いざという時はブレーキ故障して猪突猛進ね」
「……怖いわ」
「重いのよ」
「体重?」
「違うでしょうが」
「体重も増えたし体型も丸くなったね」
「性格も多少は丸くなったけど、角を隠してる」
「まるでそれって、怒った時の『フグ』 じゃない?」
「フグに、謝ったほうがいいわよ」
「きっと、今する恋は、若い時の無鉄砲な愛より、ず~んて、重いのよ」
「愛だったら、どうなっちゃうの~?」
「阿部定事件並かもよ」
「ぎゃ~物騒で楽しい~♫」
「ほんとバカ」
「じゃあ気分変えて、フグでも行く?」
「ふぐ刺し? ふぐ鍋なら日本酒でしょ? イヤだ~」
「じゃあ、ワインバーにする?」
「それじゃ、呑んだ気がしない」
「じゃあ、やっぱりフグね」
「じゃあフグ料理屋で、楽しい老後の過ごし方でも相談するか」
「悪酔いする、間違いなく、残念な日になるわ」
「残念なのは、今更始まった事じゃないから大丈夫よ」
「うん、来世、頑張ろう」
「来世、また女に生まれたら考えようよ」
「おんなじ事、繰り返すんだろうなぁ」
「あぁ、華の命は短くて……」
「眼鏡忘れたけど、ふぐ刺し、見えるかしら……」
幸福比べして足引っ張る年齢も過ぎ、何かが同じなら良しとして
安心する年齢の、天海 彩と、その仲間たち。。。
うーん
映画のレザボアドッグスの冒頭のシーン
のようなリズムある会話ですわ (= ̄ω ̄=)ノ〇
by kenji0y (2014-05-21 01:09)
ふかいわ〜 ふかいわ〜♪
この会話 隣で聞いていたい
日本酒に関するの おいらも同じだわ〜
by ねこじたん (2014-05-21 08:28)